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【2017.11.19アジアCS決勝・東京D】3戦全勝で稲葉JAPANがアジアを制す

by て.いとう

予選では、初戦で韓国に8-7のルーズヴェルトゲームで劇的な逆転勝ち。続く台湾戦では、8-2の圧勝と無敗で決勝に進出した日本。17日の試合で台湾に完封勝ちし、1勝1敗で勝ち上がった韓国と決勝で対戦した。

OBの稲葉が率いているとはいえ、ヤクルトの現役選手が一人も選ばれていない本大会をこれで全て観戦したことになる。僕はヤクルトファンだが、日本代表も好きで応援している。

僕が子どものころ、野球界はプロとアマチュアに果てしない壁があり、プロ選手がオリンピックに出場することはできなかった。アメリカと真剣勝負をする場所がないのに…戦いもしていないのに、勝手にMLBよりも日本は格下だと決めつけられ、日米野球で来日するメジャーリーガーたちの偉そうな態度にムカついていた。孫さんが、MLBのチャンピオンとNPBのチャンピオンで「本物のワールドシリーズ」をやろうと言う気持ちも分かる。

だから、イチローが日米野球がホームランを打ったときも嬉しかったし、野茂がMLBで勝ちまくったときも本当に嬉しかった。

時は流れ、今ではWBCがある。そして、東京五輪で野球が復活する。日本はWBCで2度の優勝と2度のベスト4入りを果たした。世界ランクは男女ともに堂々の1位。アメリカは「メジャーリーガーはそんな大会に出ないし、本気は出さない」と言い訳するだろうが、そういう環境も含めて野球国力だ。

どんな強い格闘家でも、試合の日にリングに上がらなければ、不戦敗で負けである。

そういうわけで、出場選手がどうであれ、やはり国際大会は力が入るし、楽しみにしている。負けることを恐れつつも、勝つと信じて、東京ドームにやってきた。

決勝戦をジュニアチアが華々しく盛り上げる
決勝戦をジュニアチアが華々しく盛り上げる

きのう好投した今永に続いて、きょうも左腕の田口が先発。田口は、7回を投げて108球。被安打3の無失点で見事に仕事を果たした。台湾、韓国とアジア圏では高水準の左投手を出しておけば、優位に試合を運べるようだ。ストレートは130km/h台ながら、球威とキレがあり、とても良かった。8回には阪神の石崎が継投したが、こちらは183cmの右腕から150km/h近い球が繰り出される。このコントラストは効果的で、韓国打線はまるでタイミングが合っていなかった。

今大会では、外野の応援席以外に、内野に両チーム共チアリーダーを配置して応援を盛り上げていた。

韓国の応援も良かったが、圧巻だったのは台湾。いったい何人いるんだっていうくらい凄まじい声援で、賑やかだった。大学野球よりも社会人野球のノリに近いような、それでいてちゃんと個性がある応援は観ていて楽しかった。それに、日本チームから見ても、守備の時にシーンと静まり返るよりは、多少騒音があった方がピッチャーも投げやすいだろう。静かだと逆に緊張するもんだ。

野手陣は、中日の京田や広島の西川などを除いて、ほとんどがパ・リーグの選手。MVPを獲得した外崎は、ブレイクしたと言っても過言じゃないだろうね。見事な活躍だった。

外崎は、むかしのパ・リーグの選手みたいな顔をしていて職人肌な感じ。なんでも、青森のリンゴ農家出身みたいで、素朴でいいね。西武の外野は、秋山翔吾もそうだけど、素朴な顔してとんでもないことをするやつばっかりいるのか。バク転するようなスーパースターはいなくても、それはそれでいいかも。

試合は、その外崎が4回ウラに先制タイムリーを打つと、5回6回と追加点を重ね、最後は西川が巧みなバッティングでスタンドに運び、止めを刺した。韓国は勢いに乗せてしまうとノリノリになって怖い。実際、先制点を与えた予選では苦労した。逆に、こちらが先制して出鼻をくじくと、シュンと落ち込む習性がある。これは、野球に限ったことではないのだろう。国民性とでも言おうか。

投手陣以外で、守りで良かったのは源田と捕手の甲斐だ。源田はルーキーとは思えないほど落ち着きがあったし、打撃では成績が残せなかったが、守備や走塁ではしっかり仕事をしてくれた。甲斐は、さすがオーバーエイジ枠なだけあって、リードに安心感があったし、落ち着きのない投手には良いところで声をかけていた。

打撃では、オーバーエイジ枠の山川は当然として、外崎、上林、近藤、西川、松本など、とても良かったと思うし、非常にレベルが高かった。この大会が告知され、「24歳以下もしくは入団3年目」と聞いたとき、ヤクルトからは原樹理や山崎晃大朗、怪我がなければ星などが選ばれるのではと考えたが、甘かった。井の中の蛙だった。観戦はとても楽しかったが、ヤクルトの若手でこのレベルの選手はいないという、厳しい現実も見せつけられた。選出においては、パ・リーグ偏重という声があったが、そんなことはない。少なくともヤクルトから選ばれなかったのは当然だ。

今年、ヤクルトは故障者が相次いでたくさんの若手野手が一軍の試合に出場した。ヤクルトの若手で自らレギュラーを奪った野手がどれくらいいるのだろう。最近では、田中浩康からセカンドを奪った山田哲人しか思い当たらない。「いないから出た」のと「奪った」のとでは意味がまるで違う。

個人的に、真中の背番号を継承する山崎には期待している。今年はホームランも打った。打ったときは、まぐれみたいなことを言っていたけれど、それじゃ困るよ。レギュラーは奪えないよ。球団も「あ、入っちゃった」なんてTシャツを売ってる場合じゃないだろうに。

また、パ・リーグの選手が多かったのでライトスタンドはパ・リーグのファンが多かった。交流戦などで反対側から応援を眺めることはあるものの、一緒に応援すると色々と勉強になる。本当に、パ・リーグは何もかもが変わった。あの不人気で野暮ったいパ・リーグは、もはや跡形もない。

サッカーのような若者受けするメロディの応援歌。球団の垣根を超えて、どのチームのファンも他球団の応援歌がうたえる。彼らに変なプライドや固定観念はない。好きか嫌いかと言われたら、好きではないが、良いか悪いかと言われたら、これはきっと良いことなんだ。天国でパンチョが喜んでるわ。僕みたいな化石のような野球ファンは、隅っこでそれを微笑ましく眺めていよう。

新庄が「これからセ・リーグでもメジャーでもなく、パ・リーグです」と宣言してから13年。新庄には、こういう未来が見えていたのか。

試合の方は、決勝戦でついに今大会初の完封勝ち。横綱相撲でアジア王者の称号を手に入れた。

おめでとう、稲葉。

NPBでも監督経験がない稲葉にとって、人生で初めての采配になったが、とても良い監督だと思う。さすが、あの野村克也が宮本慎也と並んで「監督をしているところが見たい」と言うだけのことはある。

采配は常に積極的でソツがなく、決断が早い。スタメンの組み方も、「6番外崎7番西川」などセンスが光る。球場の雰囲気を変えるために山崎康晃に継投させるなど、新人の監督とは思えないほど考えに余裕があり、周りが見えている。エンターテイナーでもある。そうかと思うと、緻密な走塁を絡めた作戦も次々に繰り出してくる。結果的に成功したものも失敗したものもあるが、明確なビジョンがあることは選手には伝わったことだろう。そうなると、選手は監督を信頼してくれる。また、現役時代は派手なスターだったが、初戦の韓国戦のように強運も持ち合わせているようだ。北京五輪で悔しい思いをしているだけに、なんとか東京五輪で忘れ物である金メダルを獲ってほしい。

さてさて、これで今年の野球観戦はこれで全ておしまい。最後に稲葉が白星を3つくれたので、年間成績は21勝23敗1分で勝率は.467。ヤクルトが96敗したシーズンだと思えば、だいぶマシ。

やっぱり野球は面白いね。


て.いとう
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